上田 宗箇流 晩涼茶会 2009/08/29
(ポール・アイズピリ)
謹啓
猛暑のみぎり、皆様におかれましては、益々、ご清祥のこととお慶び申し上げます。
さて、当尾道遠鐘クラブも創立12年。会員一同、少しずつ、茶の道で楽しむ余裕がもてるようになりました。
そこで、この度、残暑の中に、一服の涼を感じて頂こうという趣向で茶会を催す運びとなりました。
点心は、本格フレンチをご用意させていただきます。
お忙しいと存じますが、この機会に是非ともお茶席と点心をお楽しみ頂きたくご案内申し上げます。
敬具
尾道遠鐘クラブ
会長 手塚弘三
記
日時 平成21年8月29日 (土)
場所 なかた美術館 広島県尾道市潮見町
ありがとうございました。お陰様で、茶券の販売は、終了いたしました。
中田美術館では、「ポール・アイズピリ新作展」を9月6日まで行っております。お茶会に来ていただきました皆様には、茶会の待ち時間に、ごゆるりと作品をご覧になっていただけます。
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2009/08/29 尾道 なかた美術館で、尾道・遠鐘クラブ、上田宗箇流の 晩涼茶会が行われました。
上田宗箇流 の尾道の会員の皆様が、濃茶席、薄茶席をもたれました。男性会員の皆様が、和服姿で、お菓子を出され、点前をされ、お茶を運ばれる。
いつもとは違った雰囲気のお茶会で、お客様の皆様も、趣向を喜んでいらっしゃいました。
お招きいただかれた方は、144名。一席、24名の6席の茶会でした。
受付をすませますと、広々と開放感の在るロビーが。薄茶は、ご自由にということで、庭の茶室に向かいます。
路地には、綺麗に手入れされた茶花が、迎えてくれます。「ホトトギス、萩の花」
この夏は水不足で、庭の花も、枯れがちであったのに、みずみずしいほどの、ホトトギスの葉。緑蔭。翠の風が吹き渡る世界に、足をすすめます。
茶室の待合いは、土蔵の蔵です。しばらく待ちますと、夏の日差しの中、若い男性が袴姿で、案内にやってきます。
茶室は、10名ほどで、いっぱいになりました。暑い夏の終わりなのに、茶室を吹き抜ける風が、心地よく吹き抜けていきます。
お薄をいただき、濃茶の待合い室へ。待合いは、美術館の中。展示中の、アイズピリや、個人の特別展示の絵、ユトリロ、ローランサン、シャガール、などなど。本物の絵に囲まれた空間で、お菓子をいただく喜び。
お菓子は、くずのお菓子で冷たく冷やされ、甘みも上質で、次の間の濃茶が待ち遠しい。
上田宗箇流。秀吉の側にいて千利休の茶を学んだ宗箇は、利休没後は古田織部との親交を深めます。元和五年 (1619) 、浅野長晟の芸州入りに従って来広した宗箇は、その後、広島の地で茶道を広めます。
その点前は、千家の茶とは少し違う、武士の点前です。凛々しい男性の点前を拝見しながら、国宝の寺のご住職様が、半東をつとめられます。
優しいオランダ絵の平水差し、エミール・ガレの茶入れ。花は、地元の備前焼作家の花入れに、大輪の白の木槿が一輪。
ご住職様は、「これだけ大きな花を咲かせるためには、よほどの古木でないと咲かない」と、言われ、この花を茶会のこの席で咲かせるために、花を求め、苦労をなさった席首の心労を考えると胸が熱くなるのでした。
花は、言葉が言えない。だから、こちらが、気づいてあげなくてはいけない。大輪の薔薇や百合でなくても、楚々とした凜とした野の花を愛でる心を養っておきたいものです。
ゆったりとして時間を過ごし、お濃茶をいただき、点心席に向かいます。点心は、美術館内にあるフランス料理の店で、いただきました。
前菜、冷たいポタージュスープ、焼きたてのパン、魚、お肉、デザートと、ゆったりとした館内は満席なのに、話し声は、会話をする人の声しか聞こえてきません。
誰もが、ゆっくりと時間を過ごし、三々五々、満足な気持ちで帰途につかれたのでした。
本当に、良いお茶会に招いていただきまして、ありがとう存じました。関係者の皆様に、感謝申し上げます。