2008年4月 桜月
宇治・恵心院では、山吹が見ごろです。
→もっと、ご覧になりたい方は、リンク集「「京・壷螺暮」の松風さんから入ることができます。京都の桜の特集をなさっています。
都会で働く企業戦士の皆様に、日本の心を送ります。
京都の歳時記
四月を迎えますと、桜前線が北上を始めます。今年は、東京、名古屋、京都と桜の便りが聞こえてまいりますが、尾道は花冷えが続き、4月1日現在では、まだまだ咲き始めたばかりでございます。
各地の花便りが、華やかに伝えられる四月の初めは、いく春を惜しみ、親しい友人たちと信玄弁当を開いて、花見の宴を催したあと、薄茶の一碗でおもてなしをなさるのもいいですね。
京都では、平安神宮や二条城で観桜茶会が開かれるように、春の一日、桜を愛でながらお茶をいただく機会が増えてまいります。
四月も後半になると暑さを感じるような日も訪れるので、席中は火の見えないようにとの心遣いをされたお道具に変わってまいります。
桜の花は、茶人たちにも愛されたようで、桜の好みものは多く造られています。桜川釜、染付水指の桜川、京都・高大寺の北政所の御霊屋(みたまや)にある、花筏のデザインは、水指・棗・炉縁などに取り入れられて好まれています。
江戸時代の野々村仁清、乾山をはじめ、幕末の仁阿弥道八、永楽保全および和全などの名工も、こぞって美しい桜の絵のものを作っています。
桜のお茶碗もたくさん揃えております。お問い合わせください。
「茶掛」は、「弄花香満衣・はなをろうすればかおりえにみつ」・・・花を扱っている人は、その芳香がいつの間にか自分の衣にしみこむという意ですが、人間はその交わる友人や環境によって品性に影響を受けることになります、という意です。桜の花を愛でながら、一服いただける幸せをかみしめたいものです。
「百華春至為誰開・ひゃくかはるいたってたがためにひらく」この宇宙の営みからみれば、一輪の花などは小さな小さな存在です。その花が咲かなければならないという、自分の使命感を託して、何の執着心もなく無心に咲いているだけなのです。誰のてために咲いている心はなく、だた無心に咲いているのです。道端に咲く、名もない花に気がつかされることも多いですね。
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4/1日~30日は、京都の春といえば都をどりが上演されます。都をどりといえば祇園甲部の芸妓・舞妓さんが日頃のお稽古の成果を披露する祭典です。
つなぎ団子の提灯の下、「都をどりはぁ~、よ~いやさ~」の掛け声で始まる幕開けは、明治5年に開催された京都博覧会の付博覧として始まった第1回公演から今まで変わらずに続いています。
井上流家元の井上八千代師指導による、あでやかな井上流京舞が最大の見もので、4月のまる1ヶ月を通しての興行です。
4/8日は、お釈迦様のご生誕をお祝いして、全国各地の寺院で「花祭り」が行われます。
春の御所一般公開は、平成20年4月9日(水)から4月13日(日)までの5日間です。
4/9日は、二条城で「観桜茶会」が行われます。この日は、清流苑の入場できないようです。ご注意ください。二条城のライト・アップは、4月19日までです。和装で行かれた方は、無料だそうです。
4/10日は、平野神社で「桜花祭」があります。平野神社の桜は昔から有名で。この日には騎馬や織姫達の神幸列が出て一層華やかになります。花の品種が多いため「彼岸桜」~「桃桜」~「さきがけ桜」へと咲き乱れ、お花見が長期間できるのも人気の秘密です。
4/10~13日は、平安神宮で「紅しだれコンサート」が行われます。栖鳳池を取り巻く55本の紅しだれが満開に咲き誇ります。ライトアップされた幻想的な世界のなかで、コンサートは優雅に繰り広げられます。
4月12日(土)~5月18日(日) 「花の寺」三室寺では、つつじ2万株・シャクナゲ1千株を公開。つつじの規模は近畿では指折りのもので、紫・ピンク・白の花が見事に咲き誇ります。例年はゴールデンウィーク前後に満開になります。
4/13日は、法輪寺で十三参りがあります。13歳の子供さんが知恵を授かるといわれています。
難波より 十三まゐり 十三里 もらひにのほる 智恵もさまざま
本尊虚空蔵菩薩の最もご縁の深い旧3月13日(現在の4月13日)に参詣するのが古くからの慣わしのようです。
第二日曜日(13日)は、醍醐寺では、太閤花見行列が行われます。
同じく第二日曜日は、優雅に上賀茂神社で賀茂曲水宴(かもきょくすいのえん)が、行われます。寿永元年(1182)に神主重保(しげやす)が行ったことに起源をもつもので、当日は斎王代陪覧の下、当代一流歌人によって和歌が詠まれ、冷泉家時雨亭文庫の方々によって披講されます。
4/15日から25日は、上七軒・北野歌舞練場で、「北野おどり」が始まります。
4/21日は、京都・東寺の弘法市が行われます。
4/21日~29日までは、壬生大念仏会が行われます。「壬生さんのカンデンデン」と、大昔から京の大衆庶民に慕われてきた壬生狂言は、今年も700年の伝統を守り続けながら執り行われます。
4/25日は、北野天満宮の縁日です。
4/29日は、城南宮の「曲水の宴」が行われます。ゆったりと時間が流れる王朝の雅を再現してくださっています。
二十四節気(七十二候)
【春分 3/20日頃】日天の中を行て昼夜等分の時也(暦便覧) この日をはさんで前後7日間が彼岸。花冷えや寒の戻りがあるので暖かいと言っても油断は禁物。昼夜の長さがほぼ同じ頃であり、この後は昼の時間が長くなって行く。
【初候 3/20日】 雀始めて巣くう(すずめ、はじめてすくう)
【次項 3/25日】 桜始めて開く (さくら、はじめてひらく)
【末候 3/30日】 雷声を出す(かみなり、こえをだす)
【清明 4/4日】万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草としれる也(暦便覧) 清浄明潔の略。晴れ渡った空には当に清浄明潔という語ふさわしい。地上に目を移せば、百花が咲き競う季節である。
【初候 4/4日】燕来る(つばめ、きたる)
【次候 4/9日】雁水へ帰る(がん、みずへかえる)
【末候 4/14日】虹始めて見る(にじ、はじめてみる)
【穀雨 4/20日】春雨降りて百穀を生化すれば也(暦便覧) 田んぼや畑の準備が整い、それに合わせるように、柔らかな春の雨が降る頃。この頃より変りやすい春の天気も安定し日差しも強まる。
【初候 4/20日】葭始めて生ず(あし、はじめてしょうず)
【次候 4/25日】霜止み苗出ず(しもやみ、なえいず)
【末候 4/30日】牡丹花咲く(ぼたん、はなさく)
七十二候は中国で生まれたものですが、日本に伝わってから気候の違いや日本に生息しない動植物などの名前を入れ替えるなど、時代や編者により多くの版があり、どれが正しいとは言えないのが現状です。
上記は明治時代の伊勢神宮略本暦に記載されたものです。
銘は、「花筏」「桜川」「花曇」「花盗人」「百千鳥」「雲雀」「松の花」「竹の秋」「花の海」などがあります。
季語は、「花祭り(8日)」、「春暖」、「陽春」、「春日」、「春和」、「春粧」、「仲春」、「暮春」、「春眠」、「春風」、「春宵」、「桜」、「朧月」、「青麦」、「藤の花」、「つつじ」、「石楠花」、「花見」、「鳥来月」などです。花の名前などがでてくるようになりました。
「桜花散りぬる風のなごりには 水なき空に波ぞ立ちける」紀貫之『古今集』
「見わたせば天の香具山うねび山 あらそいたてる春霞かな」賀茂真淵『賀茂翁家集』
「たんぽぽや折々さます蝶の夢」 千代女『千代尼句集』
【四月の着物のお約束】
(桜をイメージした染め帯)
4月の着物は、「綸子」「紋意匠縮緬」[一越縮緬」の袷に、長襦袢も、後半になると暑い日もあるので、「単衣」、帯は袷の帯がよろしいようです。
半衿は、「白の塩瀬」で、帯揚げも冬物で「.綸子のぼかしや無地」帯締めは「八組」「真田組」「高麗組」等がよろしいようです。
お茶会も、各地で観桜茶会が行われます。晴れやかな気持ちで桜を愛でるこの季節には、「縮緬」「紋綸子」の羽織や、コートは、道行で「紗」か「レース」タイプが可愛いですね。
春も終わりに近づいているので、コートも短めで、4月中旬すぎの羽織は単仕立てがよろしいようです。
お茶会で大切な草履が迷子になることがあります。そんな時は、「わたしの草履」で、自分の草履をしっかりと目印をつけてしまいましょう。→名物裂で作られていて840円です。