九月の茶花
九月に入りますと、漸く残暑の日々も過ぎ去り、やがて爽涼の好季節が訪れてきます。
「花野」という季節がありますように、千草が咲き乱れる秋の野は、またとない茶花の宝庫の時期です。
(女郎花) (桔梗)
矢筈芒は、横に班が入った様を、鷹の羽に見立てて、タカノハススキ【鷹の羽ススキ】とも、言います。
(矢筈芒) (萩)
秋の七草である、女郎花、ききょうや、矢筈芒、仙翁、萩を、小振りの籠花入れに入れて、「花野」秋の野を表すことも楽しいですね。
(仙翁) (唐糸草)
唐糸草の唐糸は、絹糸のことで、花糸が長く美しいので、この名前が付けられました。丹波焼き、備前焼き、信楽焼きなどの、花入れに入れると、花の美しさが引き立ちますね。
秋海棠の大きな葉が、堅く強くなりすぎないように注意して、空間をうまく生かし、ひと葉、ひと葉が生きるようにいけると良いようです。
(秋海棠) (貴船菊)
貴船菊は、別名、秋明菊とも言われ、京都・貴船の寺院や農家に植えられ、貴船神社付近の道端に咲いていたので、この名前がつけられました。白と濃い桃色があります。
貴船菊は、花も花入れも簡素なものがよく、自然な生命感を生かしていけることが大事なようです。