五月の茶花
【5月の茶花】
皐月・五月になりますと、藤の花に続き、たくさんの種類の花々が一斉に咲き競いあいます。
花は、その時期に咲いたものをいける心が大切なようです。
(杜若) (熊谷草)
杜若は「燕子花」とも書き、この花の紫汁で衣を染めたところから、「カキツケバナ」の名で呼ばれ、転化したものです。→竹の花入れに入れて、スッキリとした姿を楽しみたいですね。
熊谷草は、山野草の王様です。袋状の唇弁(しんべん)を平敦盛が、戦場で背負っていた母衣(ほろ)に見立てて名付けられました。源平合戦の故事にちなんで、草姿のやさしい本種を敦盛草、草姿の豪壮な種を熊谷草と言います。熊谷草は、二葉の上に一花を横向きにつけます。→ 南蛮花入れにいれてみてはいかがでしょう。
(鹿子草) (花菖蒲)
花菖蒲は、葉が剣のようで、茎頂の苞間(ほうかん)に通常、2個の花をつけます。
(大山蓮華) (ぼたん)
ぼたんは、青磁の鯉耳花入れが似合います。
風炉の季節の花は、時間を計算していれると、お薄をいただく頃に花が咲くのを楽しめます。
(石竹) (空木)
石竹は、平安時代に中国から渡来し、和名は「カラナデシコ」と言います。
空木は、髄(茎や根の中心になる部分)が空洞になっているので、「空ろ木」が変化して「空木」になりました。
(鳴子百合) (伊吹下野)
伊吹下野は、伊吹山で最初に見つかったのでこの名がついたそうです。
植物の自然味を生かし、その時の旬をつかんで、生き生きといれることが大切なようです。